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空手とは | 強いor弱い?どんな流派・ルールがあるのかをまとめて解説します

強いってかっこいいなあ。
僕にも悪者から人を守れるような強さがあったらなあ。
格闘技始めてみようか。
どれがいいかな。ボクシング、MMAムエタイ...
でもやっぱり日本人なんだから、空手で強くなろう!
漫画とかで色んな格闘技に勝ってるし!きっと空手は強いはず!
えーと、家の近くにある道場は...松濤館流?最大流派だって。
よし!入門だ!

待て待て待て待て。

強くなりたいですか?何者にも侵されない強靭な精神を身に付けたいですか?あるいは喧嘩に勝ちたい?

なら即断即決で空手道場へ入門する前に、一度この記事を読んで下さい。きっと求める場所に入門できるはず。

今回は空手の強さ、特色、また目的にあった選び方を個人的な意見としておおまかにお伝えします。
これから空手を始めようとか、興味があるという方の選択の一助となれば幸いです。


1. 空手は強いのか?

「強いとか弱いとか、そんな低俗な事はどうだっていい!」
「己の弱き心を制するための術を学ぶのだ!!」
あと...「強い弱いは修練する人間による!どんな武道だって才ある人が打ち込めば強くなる!!」

とか。


そう思うならそれでも良いです。
ところで空手を実際に学ぶとなったら、それなりに高い金と時間が消費されるわけです。雑談で「一応黒帯ですよ」とでも言えば、相手は貴方のことを本当の強者だと思うわけです。



改めて、そんな空手をするにあたって「強くなりたい」ですか?強さなんてどうでもいいですか?


答えが後者なら、この記事は読む価値がないかも知れません。むしろ、読むだけ嫌な気分にさせてしまうかもしれません。

前者なら、この記事はきっと貴方の力になれると思います。

もし興味が持てそうなら、是非このまま画面をスクロールして頂ければ幸いです。


Q. 空手は強いのか?









A. 松濤館を始めとする伝統派空手は弱い。

はっきり言って弱いです。

しかし、空手には伝統から最先端、弱から強まで多種多様な流派というものが存在します。


2. 空手の流派

いざ空手について考えると、まず最初に立ちはだかる壁が無数の流派の存在です。似たり寄ったりならまだしも、野球とゲートボールほどに内容も目的も違うものばかりで、多くの方が戸惑うかと思われます。
このサイトではこれら大量の空手流派をあくまで「性質、内容」において四つに区別し、その強さを基に各個解説していきます。

一覧:

伝統派空手系(松涛館流、剛柔流糸東流和道流)
フルコン系(極真、新極真、正道会など)
沖縄空手
空手を捨てた空手(大道塾士道館新空手系)


まずは大まかに分類しました。近所の空手道場を調べれば、大体がこれらの流派のどれかに該当するはずです。もし仮にこのどれでもない流派、系の道場であった場合は警戒してください。
というのも、武道や武術の世界には、何も知らない素人が見栄や金を目的に新流派を立ち上げる、といった事が横行しているのです。
マイナーな流派名であればあるほど、そういった詐欺集団である可能性が高くなります。

そんな怪しい団体は排除したとして。
実際のところ、この4グループの中で強さを論じるならばどうなるか?

初めに結論を述べる事となりますが、これは明確です。

空手を捨てた空手(強い)>>>フルコン系空手>>>伝統派空手(弱い)>>>沖縄空手(≒何もしない)

こんな具合でしょうか。


それでは、次項から各流派群ごとに解説します。

伝統派空手系(松涛館流、剛柔流糸東流和道流)

「空手」といえば伝統派空手、そう言ってもいいほどのメジャー流派です。

伝統派空手系の競技人口は7000万人。
次点のフルコン系は2000万人。

競技人口を見れば、他流派より圧倒的に栄えていることが分かります。

営団体もほぼ統一されており、近年ではオリンピック競技に採用されるなど対外的なコミュニケーション力、宣伝力も兼ね備えた非常に安定した団体と言えます。

その強さは?

はっきり言って、弱い。
自分より小さい喧嘩慣れしたヤンキーに勝てるかも怪しいレベルです。
それもそのはずで、伝統派空手は別名寸止め空手。攻撃を寸止めする空手です。

寸止め??

寸止めします。伝統派空手は本当の意味で「攻撃を相手に当てない」空手なのです。
その為「一撃必殺」の理念を掲げてはいますが、バチバチと殴り合うフルコン系などには明らかに大きな実力差を開けられています。
その代わり、オリンピックに採用されるほどにまで競技性を発展させ、安全な武道として女性や子供にも大人気。ある意味では最も成功した流派といえます。
ただ、本当に弱い。女性が路傍の護身術などに使うには無理があります。しかしあくまで運動、スポーツとして行うならばそれも問題なく、おそらくは非常に楽しめる流派です。

強さ:2/5
安全性:4/5
対象:安全なスポーツを楽しみたい方

フルコン系(極真、新極真、正道会など)

上述の伝統派空手に対し、実戦性を求めた空手家達によるアンチ的な存在として成立したのが極真館を始めとするフルコン系空手です。
フルコン(=フルコンタクト)の名を掲げる通り、寸止めに過ぎない伝統派空手と違い相手を本気で殴り蹴る、より喧嘩や実戦に近い競技ルールが売りの流派です。別名は喧嘩空手。
といっても全面的に伝統派空手に優れているというわけでは決して無く、実戦化の代償としてある大きな欠点が存在します。
それが「顔面パンチが禁止」ということ。
格闘技における最強の技は常に顔面パンチです。極真空手はグローブをつけない素手素足の攻防を採用したことと引き換えに、顔面パンチという素手で扱うには危険すぎる技を放棄しました。
しかし顔面パンチが使えないというのは実戦や喧嘩においては決定的な弱点です。
ほかの格闘技は殴るときも蹴るときも、前後左右に移動する時ですら顔面パンチを意識しています。顔面パンチを常に考えた身体操作を常時行なっているわけです。
フルコン系空手にはそれがありません。
これが意味することは、例えば顔面パンチのあるキックボクサーなどからしてみれば、彼らはあまりに与しやすい獲物であるという事です。
フルコン系の空手家が蹴りを放った瞬間、パンチを打った瞬間、前へ踏み込んだ瞬間、あるいは安全な距離へと逃げようとした瞬間。全ての行動が、キックボクサーへ格好のチャンスを与えることに直結します。つまり、絶対に勝てないのです。
素人相手の喧嘩ならこんな心配は不必要でしょう。
しかし「格闘家」という人種に対し、フルコン空手は絶望的に相性が悪いのです。
これがフルコン系空手の弱みです。

ただ、これは当たり前ですが、この流派は「顔面を打たれない」安全な空手という訳でもあります。これは中々に大きなメリットで、「後遺症の残るような大怪我は絶対にしないという保障付きで」素人より圧倒的に強くなれる、唯一の競技がフルコン系の空手なのです。
つまりよく言えば、安全性と実戦性のいいとこどりをした流派といえますね。
悪く言えば、どっちつかずでもあります。

また、女性が護身術として学ぶのは悪くないと思いますが、どんな暴漢にも絶対に負けない強さが欲しいならば少々不足かもしれません。

強さ : 4/5
安全性 : 2/5
対象 : 素人〜喧嘩慣れした素人レベルに勝ちたい人

沖縄空手

これはあまり詳しくないのですが、一切試合を行わず、木の板や空気を毎日殴り蹴るといった趣旨の流派のようです。
実戦性は皆無と言っていいでしょう。どちらかと言うと生け花や茶道と同種の存在であるように思えます。
厳密には空手ではなく、その前進となった沖縄の武術であるとの事です。
オリエンタルな気分に浸りたい人、人とは少し違う事を学びたい人などにオススメです。

強さ : -/5
安全性 : 5/5
対象 : 物好き

空手を捨てた空手


変化を重ねた結果として空手の範疇を外れてしまったような流派です。
特色はそれぞれありますが、どれにも共通して言えることは「空手の看板を掲げた現代格闘技」である事、そして非常に実戦的である事の2点です。

それもそのはずで、

空手よりボクシングのパンチの方が強い→ボクシングの打ち方に変えよう!
空手よりムエタイのキックの方が強い→ムエタイの打ち方に変えよう!
空手よりレスリング、柔道の投げの方が強い→レスリングや柔道の投げに変えよう!

テセウスの船よろしく、後に残るのは空手の看板だけだったという具合です。

もはや空手と言えるのか?
実際、先に流派の一つの大道塾などは空手を名乗る事をやめ、独自の武道団体として運営しています。

ところが練習生の立場からしてみればそんな立場上の複雑さなど関係なく、ただ強いという事実があるだけです。うまい戦略ですね。
空手を始める根本的な理由には「強くなりたい」という感情があるでしょうが、実際には「道着を着たい」など形に憧れる方も多い。両者のニーズを正確に捉えた良いとこ取りの流派です。

しかしどの流派も団体規模や歴史の浅さが欠点となり、結局のところ現代格闘技には技術、実力などで一定の差をあけられているのが実情です。より純粋に強くなりたいならばMMA(総合格闘技)、キックボクシングなどをお勧めします。

それでも、武道の中では圧倒的に強い。現在のプロ格闘の世界にそれ単体で挑むことの出来る唯一の流派グループがこれら「捨てた空手」達といえます。
そりゃあ、プロ格闘の技を輸入しているのだから当然なんですが。

強さ : 5/5
安全性 : 1/5
対象 : なにより強くなりたい人


総括

以上、空手流派の選び方でした。
記述したように、強さだけを選択理由にするならば意外なほどに明確な差、基準が存在します。
もちろんスポーツとしてみればどれも素晴らしい競技レベルの流派ばかりです!
最後までお読みいただきありがとうございました。