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合気道とは | この謎に包まれた日本武道は本当に強いのか。格闘技経験者による視点

合気道ってなに?」
と聞かれて、答えられない日本人はまずいないでしょう。
かなり有名な武道です。
空手・柔道・合気道 って感じですよね。

しかし「合気道ってどんな武道?」と聞かれるとどうでしょうか。

うーん....

・達人のおじいさんがやってるやつ
・女子供でもマッチョを倒せるみたいなやつ
・相手の力を利用するみたいなやつ
・極めれば強いみたいな
etc...

こんな具合になります。かなり曖昧ですよね。結局どんな武道なのかと考えると、わりと結論を出すのに窮します。
空手だったら殴るやつだし、柔道だったら投げるやつなんだけど...
合気道??

ということで、今回はこの謎武道「合気道」について、具体的な技法・理念とその強さ、特色などについて解説していきます。これから合気道を始めようと考えている・あるいは迷っているような方に向けたアドバイスとなれば幸いです。
よろしくお願いします。


※筆者には合気道の経験が一切ありません。この記事はあくまで現代格闘技・柔道経験者による一つの意見となることをご理解ください。



1.合気道は強いのか

まず最大の論点についてです。


合気道で強くなれるのか。


これは、かなり難しいと私は思います。そもそも合気道は、
「強くなることを一切求めていない」ように見受けられました。

現在の合気道の存在意義といえば、一般的にイメージされるような「護身」や「肉体・精神の鍛錬」という意味合いはかなり薄れています。
もはや「歴史の勉強」であったり「文化の継承」と言った方が妥当だと思われます。


数十年前の設立当時ならいざ知らず、今の合気道は「弱い武道」の条件をことごとくコンプリートしています。詳細は後述しますが、ともかく

どれだけ高度な技法が存在していたとしても、実質的に今はもう失われている

と判断するしかない無数の材料が揃っているのです。

よって、合気道はただ「強くなる為・身を守る為」には決して始めるべきでないと結論付けます。



「そんなことはない!」と、この結論に疑問を持たれる方や、武道としての実力を度外視にして合気道について知りたいという方に向け、次項では合気道の具体的な技法・理念についての解説をしていきます。


2.合気道とは一体どんな武道なのか

合気道は、一口に言えば「組技武道」です。
つまり打撃(パンチやキック)の練習は一切行わず、相手を掴んで投げたり転がしたりすることだけを学ぶ、といった主旨の武道です。(護身術として考えるとかなり問題である気がしますが)
柔道や柔術の類と同様というわけですね。
合気道には「手刀」つまりチョップというのもあるにはあるんですが、これは手刀を刃物に見立て、素手の組技でうまく対処すべしという、あくまで約束組み手の「負け役」としての存在です。

では柔道や柔術に比べ、合気道がどういった特色を持っているのか。

なにより大きな相違点は、合気道について誰もが知る「相手の力を利用する」という理念です。

柔道であれば結局は力強さと素早さが技の質を決定しますが、合気道は相反するように「力はいらず、速さもいらず」といったスタンスをとっています。じゃあ何を要するのかというと、これが相手の力なんですね。

1.人体の構造を理解し〜
2.相手の重心移動を知り〜
3.相手の筋肉の操作を完全に把握したならば〜

結果、自分の力は大して使わずとも闘いを制する事が出来るというのです。


が、

これは実際には不可能に近いです。

前提となる、1〜3の部分が現実的ではありません。

本気でこんなことが出来る人間がいるとすれば、それは他流派をことごとく極め、人生を武道に捧げて生きる、天才的なボディイメージと想像力を持つ百年に1人の逸材...

くらいでしょうね。

そんな天才に、同じく合気道の全てを習得したような天才が指導をした場合だけです。

ちなみに、現在合気道界にはそのような神話的扱いを受けている人はいません。つまり、そんな本物の合気道を指導できる人間は存在しないということになります。




柔道や柔術との相違点その2。

合気道には試合が存在しません。

当ブログでは毎度のように述べていますが、試合を行わない武道はどこもかしこも弱いです。
その理由は、技術の進化が存在しないこと。
武道だけでなく、どんな競技にも完全な指導というのは存在しません。
ですから、武道を学ぶ時は必ず自分なりの自己解釈というものを伴いますが、多くの場合はこの正解不正解を「試合」という場において判別するようにできています。

逆に言えば、ある選手が「今までの教えよりこちらの方が良くないか?」と思ったならば、それを実践で試すことも可能なわけです。

合気道の場合、これがありません。
自己解釈も、間違った指導も、完全に投げっぱなしです。
結果、何が起こるのか。
「指導者自身も正しいかどうか分からないものを、そのまま弟子にコピペする」という形容しがたい流れが出来上がります。
また日本人というのは誰しも権威主義なところがありますから、弟子は師匠を全面的に正しいもんだと思い込みます。

結果、「形だけ」開祖や師匠だった達人と同じ動きをするが実のともわない、いっそ武道風ダンスといっても差し支えないような動きを学ぶことになりかねません。

分かりやすい例として「達人であっても背後からの気配実際に感じること不可能説」というものがあります。水曜日のダウンタウンです。
その内容は「安藤毎夫」なる合気道の達人を背後からデコピンハンマーでぶっ叩いて、防げるのか否かといったものでした。
出演者の方は「養神館 師範」という、合気道でも総本家と呼べるような団体の最高位です。
そのうえ彼は検証前、そんなものは簡単に出来ると豪語されていました。私は天下の合気道師範であるぞと。

そして結果、彼は女子高生に見事に後頭部を打ち抜かれて敗北・・・

問題は彼の合気道が本物かどうかではなく、合気道の最大流派である養神館が彼のような技術レベルの人間に「六段 師範」という大層な肩書を与えていたという点です。

もしこれから先、合気道に本当の実力者が現れたとしても・・・
合気道の技法が真に有効なものだったと判明しても・・・

運営母体が変わらない限り、先の安藤氏のような人を指導者として認めてしまうことには変わりがないわけです。
すると、これから合気道を学びたい人の視点からは「師匠が実力者なのか偽物なのかわからない」という状況になります。
これは合気道についてただ一つ否定のしようがない、明らかな欠陥といえるでしょう。



続きます。
合気道の三つ目の特色は、

あまりに特殊すぎる

というものです。


【格闘技・武道】強くなれないあなたが誰よりも強くなる方法1.
https://fightblog.hatenablog.com/entry/2020/05/01/195734

詳細はこの記事などに示していますが、本来武道や格闘技の強さとは網羅性に限ります。
網羅性というのは、汎用的な対応力の事です。
出来るだけ多くの状況に対応可能であることこそが格闘技の強さであると私は思います。
その点において、師範レベルの人間ですら一度もパンチを受けたことがないよという合気道界の在り方は、非常に視野が狭いと言わざるを得ません。

合気道の最大の強みは「特殊性」、つまり他流派からしたら見たこともない技術群を保有していることらしいですが、これがそのまま弱みにもなりうるということです。
よって、現代格闘技の世界に浸透した柔道・柔術と比べると、やはり実戦性には大きく劣るというのが現実です。


以上が、目立ってわかりやすい合気道の特徴でした。


3.合気道を学ぶ意味。

これまでに、合気道はその技術の特性上強くなるには向いていないよ、という話をしました。
これは本当に強さの面にのみ注目した話であって、上述したような歴史の勉強、文化の継承という点ではきっと合気道も大きな意義を持つはずです。

ところで、月に何千円という金、そのうえ長い時間を払って「文化の継承」したいですか?

誰しも最初は強くなりたいと入門して、そのままなし崩し的に仕方なく合気道を続けているのでは?

などとという疑問はさておき、強くなることを全く放棄するのであれば合気道はいい運動、体操になるはずです。

ただ一つ、あなたが「自分の弱さを捨てたい」だとか「自分や家族の身を守れる強さが欲しい」そう思うのならば、合気道界隈の甘言に絆されず、しっかりと自分を持ってMMAでも初めて欲しい・・・という話でした。


ちなみに実は筆者自身、合気道家に投げ飛ばされた事があります。格闘技の類いを何一つ学んでもいない子供の頃でしたが、柔道でいう大外刈りのような技で見事に転がされました。
そりゃあもちろん武道なんだから、強くなることには間違いないです。


以上、合気道に対する私の見解となります。
ご読了ありがとうございました。